インプラント治療の妨げとなるリスク因子

インプラント治療の
妨げとなるリスク因子

インプラント治療の成功を妨げるリスクについて解説しています。もしも、ここで紹介するリスクファクターに当てはまるものがある場合、まずは担当の歯科医師に相談し、治療中の病気については主治医と連携をとりながら治療を進めていく必要があります。

治療前に知っておくべき
インプラントのリスクファクター

インプラント治療は万全の態勢で

万全の状態で行われていれば、インプラントは安全性が高い治療法ですが、もしも、患者さん側にリスクファクター(危険因子)がある場合、治療のリスクが高くなることから、事前にしっかりと確認しておく必要があります。

インプラントのリスクファクターの種類

安全性の高いインプラント治療を行い、術後に良好な状態を保つためには、治療に対するリスクファクターの有無が大きく影響を与えます。
特に、次の2つのリスクファクターは、インプラントの治療成功の鍵を握ることから、当てはまる患者さんは歯科医師と相談の上、慎重に治療を進める必要があります。

手術に対するリスクファクター

インプラントの埋入を行うための外科手術の途中、何らかの問題が起こると手術が続行できなくなってしまいます。その中でも、手術中に起こる合併症や偶発症を引き起こす要因は、インプラント手術を妨げる代表的なリスクファクターだといえます。

骨結合に対するリスクファクター

インプラントの埋入後、周囲の骨組織と結合する「オッセオインテグレーション」が阻害されると、インプラントが脱落につながります。特に、大きな力が加わるような物理的な要因や、血流を悪化させる要因は骨結合を妨げるリスクファクターとなります。

オッセオインテグレーションには以下の5つの条件が必要です。



  •  インプラントに生体許容性,不活性,活性の材料が使われている
  •  ドリルの熱で骨を傷つけずにインプラントの埋入窩が形成された
  •  インプラント埋入直後に初期固定が得られた
  •  骨結合するまでの間、過大な負荷がかかっていない
  •  インプラントや周囲組織への細菌感染がない

インプラントのリスクファクターとなる主な要因

また、インプラントのリスクファクターは、問題となる部位によって「全身的リスクファクター」と「局所的リスクファクター」の2つに分類されます。具体的に、次のような要因がインプラントのリスクにつながります。

要因1 全身的リスクファクター

喫煙

喫煙はインプラントのリスクを上げる

タバコを吸うことにより体内が酸素不足に陥るため、結果的にインプラントの骨結合に対するリスクが高くなってしまいます。
タバコに含まれるニコチンの影響で血管の収縮が起こると、血流が悪くなって、血液が全身に行き渡りにくくなります。さらに、タバコから発生する一酸化炭素はヘモグロビンと結びつきやすいため、喫煙によってヘモグロビンと酸素の結合が邪魔されると、血液によって運搬される酸素の量が減少してしまうのです。
インプラント治療を受ける場合は、喫煙によるリスクをしっかりと理解しておく必要があります。

糖尿病

インプラント治療を受ける際はあらかじめ内科医に相談し、血糖値のコントロールを行う必要があります。
糖尿病はストレスによって症状が悪化することから、手術中の低血糖や高血糖には注意しなければなりません。また、高血糖やインスリン不足の状態が続くと、骨を作る骨芽細胞の働きの低下や数の減少するため、骨代謝が低下し、インプラントの骨結合が阻害されてしまいます。
インプラント治療が可能かどうかは、HbA1cの値が基準値未満かどうかで判断されます。

高血圧症

動脈硬化と深いつながりがある高血圧症は、手術に対する代表的なリスクファクターです。
降圧剤の服用によって血圧が安定している状態でも、手術のストレスによって血圧が上がることで、手術中の出血が止まらなくなったり、術後に出血が起こる恐れがあります。さらに、血圧の上昇はさまざまな合併症のひきがねとなることから、生体情報モニターの監視下での治療が必要です。
インプラント治療中の血圧の上昇を防ぐ方法には、局所麻酔と静脈内鎮静法の併用があります。

インプラントリスクファクター要因

貧血

日頃、貧血の自覚症状がないという方でも、貧血によりインプラント治療ができない場合があります。
貧血になると、細胞内の酸素が欠乏した状態になることから、骨結合のほかに、治療部分の治癒が妨げられてしまいます。また、免疫力が低下してしまうと、術後の細菌感染のリスクが高まるため、インプラント周囲炎が起こりやすくなるのです。
特に、ヘモグロビン(Hb)の数値が1g/dL未満の場合は、インプラント治療は難しくなります。

骨粗鬆症

骨粗しょう症の場合は骨強度が低下するため、骨結合に対するリスクが大きくなります。
骨が弱いとインプラントを支えられないだけでなく、初期固定や骨結合の妨げとなる可能性が高くなります。さらに、骨粗しょう症治療に用いられるビスフォスフォネート系薬剤を服用している場合、インプラント埋入は禁忌とされていることから、必ず歯科医師にその旨を伝える必要があります。
そのほかに、ステロイド薬の服用や抗血栓療法も、注意が必要なインプラントのリスクファクターです。

要因2 局所的リスクファクター

歯周病や虫歯

インプラント治療の際、周囲の歯に虫歯や歯周病の症状がみられる場合、細菌感染による炎症が顎の骨に広がって骨結合の妨げとなるほか、インプラント周囲炎を引き起こす恐れがあります。

そのため、インプラント治療を開始する前に、残存歯の虫歯や歯周病の治療をしっかり行って、可能な限り危険因子を取り除いておくことが大切です。

パラファンクション

パラファンクションは、通常の機能とは無関係な口の動作のことで、片噛みや舌癖などの「口腔悪習癖」のほか、グラインディング(歯の擦り合わせ)やクレンチング(噛みしめ)のような「ブラキシズム」があります。

パラファンクションが頻繁に行われると、埋入したインプラントの骨結合に対するリスクとなるため、就寝中にナイトガードを装着するなどして、パラファンクションを防ぐ必要があります。

噛み合わせ

埋入後のインプラントに人工歯(上部構造)を装着した際、噛み合わせが悪いとインプラントに無理な力が加わって、骨結合の妨げとなるほか、人工歯の破損につながる恐れがあります。

噛み合わせは、姿勢や寝方、パラファンクションの影響を受けて変わることから、人工歯の装着時だけでなく、術後の定期検診によってきちんと確認することが大切です。

骨量や骨質

インプラント失敗につながるリスクファクター

インプラントの埋入に必要な骨量を満足していない場合や、骨質が悪い場合にインプラント治療を行うと、初期固定がうまくいかないほか、骨結合が正常に行われない可能性があります。

骨量や骨質については、歯科用のCTスキャンやレントゲンで撮影した画像をもとに診断できるため、治療前の検査で見逃さないことが重要です。

スマイルラインなどの顔貌の特徴

前歯にインプラントを埋入する場合、見た目に大きな影響を与えることから、十分な検討が必要です。その中でも、特にスマイルラインとリップサポートについては、慎重に確認する必要があります。

笑った時、スマイルラインという上唇の位置が高いと、歯肉の露出が大きいほか、唇を後ろから支えるリップサポートが得られない場合、見た目が悪くなるため、審美的理由からリスクが高いと判断されます。

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