フッ素を含む歯磨き粉の効果・適正使用量

フッ素入り歯磨き粉の


効果・使用方法

現在、フッ素入り歯磨き粉は多くの国で利用されており、2011年には日本国内で販売されている歯磨き粉のうち、90%にフッ素が配合されているという報告があります。フッ素入り歯磨き粉(フッ化物配合歯磨剤)の利用は、家庭で手軽に行える身近な虫歯予防法です。ここでは、フッ素入り歯磨き粉の効果、安全性、使用方法について詳しく解説します。

フッ素とは?

フッ素は自然界の動物や植物、食品、土壌中や海水中などにも広く存在する元素です。
フッ素元素の陰イオンの状態にあるものをフッ化物と言います。虫歯予防に使用されているフッ化ナトリウムもフッ化物です。

フッ化物の働き

フッ化物には主に以下のような虫歯予防効果があります。

フッ化物の働き

再石灰化を促す

再石灰化とは、脱灰による歯のダメージが修復され、元の健康な状態に戻る現象です。唾液中のリン酸カルシウムの働きによって起こります。
フッ化物は、リン酸カルシウムの反応性を高める働きがあり、再石灰化を促進します。

歯垢による酸の生成を抑える

歯に付着した歯垢内の細菌は、糖質から酸を生成します。フッ化物は細菌の働きを抑制し、虫歯の原因となる酸の生成を抑えます。

フッ素入り歯磨き粉の種類

フッ素入り歯磨き粉には、濃度、形状ともに様々な種類があります。

フッ化物の濃度

フッ化物イオンの濃度は、日本では薬事法により1,000ppm以下と基準が定められており、そのほとんどが950ppm程度です。子供用のものでは500ppm100ppmのものがあります。

形状

フッ素入り歯磨き粉はペースト状のものが主となります。吐き出すことが難しい1~3歳未満の子供には、ジェルタイプや泡タイプ、スプレー式の液体タイプなどがあります。

フッ素入り歯磨き粉の安全性

フッ素入り歯磨き粉の有効性についてはさまざまな報告がありますが、最も多いのが虫歯予防率30~40%という報告です。さらに、成人・高齢者に多い歯肉退縮による根面虫歯に対しては、67%の予防効果も報告されています。

このように、フッ素入り歯磨き粉は虫歯予防に有効であることがわかっていますが、フッ化物の過量摂取は急性中毒フッ素症を引き起こす恐れがあります。

フッ化物による急性中毒

フッ化物の摂取・吸引量によっては、短時間で人体への悪影響が現れる場合があります。

フッ化物の急性中毒量は?

治療・入院を必要とする推定中毒量・・・5mg/kg(体重)
なお、幼児がフッ素入り歯磨き粉を使い、一人で歯を磨いた場合に口腔内に残るフッ化物の量を調査したところ、3~5歳の場合は0.06mg(15.3%)、3~6歳児の場合は0.04mgという結果が報告されています。
つまり、1日3回行った場合でも0.12~0.18mgで、意図的あるいは事故により過量摂取しない限り、フッ化物による有害な影響はないとされています。
フッ素入り歯磨き粉の利用時には、使用量を守ることはもちろんですが、誤って歯磨き粉を飲み込むことのないよう事故防止に努めることが大切でしょう。

フッ素症とは

フッ素症とは、エナメル質の再石灰化期間中にフッ化物を過量摂取することで発生する歯の形成障害のことです。症状の程度はフッ化物の摂取量や期間により異なりますが、エナメル質に白濁や縞模様、欠損などが現れます。フッ素症の影響を最も受けやすいのは小臼歯と第二臼歯、続いて上顎の切歯です。反対に、最も影響が少ないのは下顎の前歯です。
フッ素症の発現リスクは6歳以下の幼児期に集中しています。また、1~3歳の間は歯の中でも目立ちやすい上顎中切歯(上顎の前歯2本)がフッ素症にかかりやすくなります。この時期はフッ化物の摂取が過量とならないよう、特に注意が必要です。

フッ化物は正しく活用することが大切です
歯磨き粉 フッ化物洗口 フッ素スプレー 歯面塗布
歯磨き粉 歯磨きをする子供 フッ素 治療中の子供

歯磨き粉

歯磨き粉吐き出しができるようになってから活用すると良いでしょう。市販の歯磨き粉の9割にフッ素が配合されています。

フッ化物洗口

歯磨きをする子供ぶくぶくうがいができるようになってから開始します。うがい後に口の中にフッ化物が残りますが、心配要りません。

フッ素スプレー

フッ素ぶくぶくうがいのできない1歳から3歳未満のお子様におすすめです。仕上げ磨きで使用すると良いでしょう。

歯面塗布

治療中の子供歯科医院や保健所などで専門家により実施されています。塗布後は、指導に従う必要があります。

ドライマウスの予防法フッ素入り歯磨き粉の効果的な使用方法

【年齢別】フッ素入り歯磨き粉の適正使用量

フッ化物中毒やフッ素症を防ぎながら安全に虫歯予防を行うには、フッ素入り歯磨き粉の適正使用量を守ることが大切です。

フッ素入り歯磨き粉の適正使用量
年齢 適正使用量   フッ化物濃度
歯の萌出~2歳 切った爪程度の少量
1~3㎜程度
歯磨き粉 500ppm(泡状は1,000ppm)
3~5歳 ブラシの先端から
5mm以下
歯磨き粉 500ppm(泡状/MFP歯磨剤は1,000ppm)
6~14歳 ブラシの先端から
1cm程度
歯磨き粉 1,000ppm
15歳以上 ブラシの先端から
2cm程度
歯磨き粉 1,000ppm

ブラッシングの主な手順

手順 1各年齢の適正量(上記の表を参照)を歯ブラシにつけ、ブラッシングを行う

手順 2ブラッシング後、10~15mlの水で1回うがいする

手順 3うがい後、1~2時間程度飲食を控える

※就寝前に行うと特に効果的です。