歯磨きだけでなく総合的なアプローチが歯周病の予防効果を高めます

歯周病のリスクファクターと予防/原因に応じた効果的対策が必要

口の中だけではない!歯周病のリスクファクター

歯周病の直接的な原因はプラーク中の細菌ですが、生活習慣や全身疾患の中にも歯周病の進行に関連するリスクファクターがあります。
歯周病はいくつかのリスクファクターが相互に関与して発症・進行する多因子疾患(たいんししっかん)と言われています。
 
これらの要因を知り、適切なプラークコントロールを行うとともに、歯肉の抵抗力を弱める生活習慣や全身疾患の改善を行うことで、歯周病を予防することができます。

細菌のすみかである「プラーク」

歯周病の直接的な原因はプラークですので、正しいブラッシングを行うことは歯周病を予防する上で最も重要です。しかし、「きちんと歯磨きを行っているのに、歯周病になってしまった・・」という人は少なくありません。自分ではよく磨いているつもりでも、磨き残しがあるとプラークが蓄積して歯周病となることがあります。
 
そのため、定期的に歯科医院で検診を受けることが大切です。定期検診では、磨き残しやすい部分を教えてもらい、適切なブラッシング方法の指導を受けます。また、歯ブラシでは除去できない歯石や、自分ではうまく磨けない部分の汚れを除去してもらいます。

補助用具の活用

歯間ブラシデンタルフロスを使用し、歯ブラシでは取りきれない歯と歯の間の汚れを除去します。歯周病は通常、歯と歯の間の部位から発症しますので、歯間ブラシやフロスの使用方法を歯科医院で教えてもらいましょう。歯間部の磨き残しをなくし、歯周病の発症を予防します。

どの歯磨き剤(粉)を使えば効果的?

歯周病予防にどの歯磨き剤を使用すれば効果的なのか?という疑問を持つ方は少なくありません。歯周病予防のための歯磨き剤がありますが、これを使用するだけでは、原因であるプラークを確実に除去する事はできません。
歯磨き剤の効果に頼ることなく、適切なブラッシングを行うことが大切です。

喫煙・糖尿病

喫煙・糖尿病は、歯周病の発症・進行に関連するリスクファクターであることが多くの臨床研究により証明されています。
また、同じ歯周病治療を行っても、喫煙者・糖尿病患者では、非喫煙者・非糖尿病患者に比べて、治療の効果が低いことも報告されています。
 
このため、歯周病発症・進行の要因を取り除くため、また、治療効果を上げるためにも、これらのリスクファクターに対する治療が必要となります。

タバコ(喫煙習慣)

喫煙すると、タバコに含まれるニコチンなどにより、歯肉の抵抗力が低下し、歯周病に感染しやすくなってしまいます。
喫煙者は歯周病発症のリスクが高いだけでなく、歯周病治療を行っても良好な治療結果が得にくいことが報告されています。
 
喫煙者が歯周病治療を始めるにあたり、禁煙した場合では、喫煙し続けた場合よりも、歯周病の進行が遅く、歯の喪失が少なかったと報告されています。
歯周病予防のため、また歯周病治療成功のためには、禁煙することが推奨されます。

糖尿病

歯周病は、糖尿病の第6の合併症と呼ばれ、両者は密接に関係しています。
糖尿病では、免疫力低下により、感染しやすい状態になり、歯周病菌に感染しやすくなります。また、創傷治癒の遅延が起こり、歯周病が発症・進行しやすくなります。
 
血糖値のコントロールが悪いほど、歯周病の進行が速く、重症化することが報告されています。逆に、適切な血糖コントロールを行うことで、非糖尿病患者と同様の治療効果が得られることが報告されています。
また、最近の研究では、歯周病治療を行うことで、血糖値が改善されることも報告されています。血糖コントロールを行うことは、歯周病の予防につながり、また、歯周病治療の効果を高めます。

定期的な歯科受診が大切です

歯や歯肉に痛みや違和感が出て初めて、歯科医院を受診する人が多いのが現状です。しかし、症状が出たときには、すでにむし歯や歯周病が進行してしまっていることがあります。
 
歯を失っても、インプラントで天然歯に近い噛み心地を取り戻すことが可能になっていますが、一度むし歯になった部位に健康な歯が再生することはありません。むし歯治療では、むし歯の部分を削り取り、人工物で修復します。また、歯周病で溶けた骨は、自然に再生することはありません。つまり、治療を行っても、元の健康な状態には戻りません。
 
定期検診では、歯のクリーニングを行い、自分では取りきれない歯垢や歯石を除去し、むし歯・歯周病の予防を行います。また、初期の段階で病気を発見し、治療すれば、治療は短期間で済むでしょう。
天然の歯を健康な状態で維持するため、定期検診を受けることをおすすめします。

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