智歯周囲炎が起こる原因は?予防/治療/親知らず抜歯の必要性

智歯周囲炎の


原因・症状・治療方法

「智歯(ちし)」とは、第三大臼歯(だいさんだいきゅうし)、つまり親知らずのことを指します。智歯周囲炎(ちししゅういえん)とは、親知らずのまわりの歯茎に起きた炎症のことを言います。歯肉の腫れや痛みだけでなく、口が開かなくなる場合もあり、適切な対処が求められます。

智歯周囲炎とは?

親知らずの周囲に起こる炎症のことです

親知らずがまっすぐに生えてこないと、前の歯との間にすき間ができ、汚れが溜まりやすくなってしまいます。それにより、細菌が増え、炎症が起きてしまいます。
親知らずは、顎の一番奥に位置しているため、生えてくるスペースが足りず、正常に生えないことが多いです。傾斜して生えたり、途中までしか生えてこなかったりすると、親知らずの上に歯肉が被った状態になるなど、衛生管理が行いにくくなります。

親知らずの炎症

智歯周囲炎の主な症状

智歯周囲炎の症状

智歯周囲炎は、段階的に症状が悪化します。ひどくなると、他の人が見てわかるくらいに顔が腫れたり、発熱・倦怠感といった全身症状が起こる場合もあります。また、痛みにより、水を飲みこむことさえも困難になる場合もあります。

智歯周囲炎が重症化すると

智歯周囲炎を放置してしまうと、炎症が広がって重症化する場合があります。「頬部蜂窩織炎(ほうかしきえん)」にまで発展すると、頸部の膨張によって呼吸困難に陥るなどの重篤な症状を引き起こすことも考えられます。
体調が悪い時や免疫力が低下している時は、智歯周囲炎が進行しやすいです。また、糖尿病などの全身疾患、薬の服用が影響している場合もあります。

智歯周囲炎の治療法

手術のイメージ

軽度の智歯周囲炎は、炎症が起きている場所の洗浄や抗菌薬の服用によって症状を改善できますが、進行して重度になると入院治療が必要になる場合もあります。

治療によって症状が改善しても、繰り返し炎症が起こる場合が多いため、抜歯を勧められる場合もあります。症状が強く出ている状態では、麻酔が効きにくかったり、炎症が悪化したりすることがあるため、炎症が治まるまでは抜歯は行わず、痛み止めや抗菌薬により炎症を抑えることが優先されます。

親知らずがまっすぐ生えている場合には、他の奥歯の抜歯と大きく違いはありませんが、横に生えていたり途中までしか生えていなかったりすると、通常よりも抜歯が困難になります。全身麻酔下で手術が必要になる場合も珍しくありません。

智歯周囲炎を予防するには

智歯周囲炎の一番の予防策は、親知らずを抜歯をすることですが、細菌や汚れが溜まらないようにすることも予防につながります。
親知らず周辺に汚れが溜まりやすいのは、親知らずの生え方だけでなく、歯ブラシが届きにくいことにも理由があります。そのため、ブラッシング方法を見直し、親知らず付近だけでなく、口の中全体のケアをしっかり行うことが大切です。
また、ストレスや疲れ、抵抗力の低下なども発症に関係しています。日頃から充分な睡眠時間を確保し、栄養バランスを考慮した食事をとるなど、免疫力を高める生活習慣を心がけることも必要です。

智歯周囲炎を予防するには

早期発見のために

レントゲンで親知らずの有無、生え方を確認できます。智歯周囲炎を起こしやすい状態なのか、事前に知ることも可能です。気になる症状がある場合には、早めに歯科医院で相談することで重症化を防げます。

親知らず抜歯の必要性

早めの受診が大切です

親知らずは、智歯周囲炎をはじめ、さまざまなトラブルの原因となります。そのため、親知らずが生えてきたら、すぐに抜歯した方が良いと考える人も多いです。
しかし、親知らずの抜歯は、生え方やトラブルの有無などを考慮して決めます。特に、下顎の親知らずは大事な神経の近くに生えているため、顎の骨を削って取り出すような小手術になる場合もあり、大学病院を紹介されることも多いです。抜歯したいからと言って、すぐに抜歯を行えない場合もあるため、早めの受診が大切です。
抜歯の必要がある場合は、時間に余裕があり、炎症が起こっていないときに抜いておくという選択肢もあります。トラブルが起きる前に、自分の親知らずの状態について、歯科医院で相談しておくと安心です。

親知らずを残すという選択肢

親知らずが真っ直ぐ生えていて、歯として機能していれば、残せる場合もあります。
親知らずはうまく咬み合うことが少なく、不要だと思われがちですが、将来他の歯を失ったときに歯牙移植することもできます。親知らずを大切な歯のひとつとして役立てる選択肢もあります。

親知らずの移植
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