インプラント手術の方法
インプラント治療では、インプラントを顎の骨に埋入する外科的手術が必要となります。
インプラント手術の種類
インプラントを埋入する手術には2回法と1回法があります。手術が2回必要な術式が2回法、1回で済む術式が1回法です。
症例により2回法、1回法の選択を行います。
以下に、術式および適応を説明します。
2回法
1回目の手術後、インプラントは粘膜の下に完全に覆われます。
1次手術
粘膜を切開し顎骨を露出させ、ドリルでインプラントを埋入するための穴を開けます。インプラントを埋め込み、粘膜を元通りに合わせて縫合します。インプラントは粘膜の下に完全に覆われている状態になります。
2次手術
埋め込んだインプラントを露出させてアバットメントを取り付けます。
(アバットメントについては、インプラントの構造のページで紹介しています)
2次手術は、インプラントと骨が結合するのを待ってから行います。粘膜を切開し、埋め込んだインプラントを露出させ、アバットメントを取り付けます。
インプラント周囲の粘膜が治癒したら、人工歯の型取りを行います。
2次手術は、1次手術に比べて手術の侵襲(身体的負担)は少なく、短時間で終了します。
1回法
1回法は、手術後にインプラントが粘膜の上に貫通(露出)した状態となります。
2回法と同様、まず粘膜を切開し、顎の骨にドリルで穴を開けてインプラントを埋め込みます。
1回法では、粘膜の上にインプラントが露出するように縫合します。2次手術は必要ありません。
骨およびインプラント周囲の粘膜が治癒したら、人工歯の型取りを行います。
2回法・1回法の比較
2回法
インプラントを粘膜の上に露出させたくないとき
- 手術後、インプラントが露出すると外力により骨との結合が阻害される可能性が高い場合
- 骨移植を行い、感染のリスクが高い場合
- 手術が2度必要になるため、1回法よりも身体的負担が多い
- 治療期間(手術してから最終的な被せ物が入るまでの期間)は1回法よりも長くなる
1回法
インプラントを粘膜の上に露出しても問題ないとき
- 手術が1度で済むので、身体的負担が少ない
- 2回法で行うより治療期間(手術してから最終的な被せ物が入るまでの期間)が短い
臨床研究によると、2回法・1回法では治癒に差はありませんが、術式は歯科医師の判断により選択されます。
1回法で骨移植を行う事もありますが、大きな骨移植では2回法を行うことが多いようです。
インプラント手術の痛み・麻酔について
インプラント手術は局所麻酔をして行いますので、通常、痛みはほとんどありません。手術の緊張・不安などストレスを軽減して治療を行うために、「静脈内鎮静法」が併用される場合もあります。
手術にかかる時間・手術後の食事など
インプラント手術にかかる時間は、埋入するインプラントの本数および骨移植の有無によって異なります。埋入するインプラントの本数が多くなるほど、手術時間が長くなります。
また骨移植が必要で、その量が多いほど時間がかかります。
通常のインプラント手術には入院の必要がありません。手術後、帰宅して食事を摂ることが可能です。大きな骨移植が必要な場合は入院することもあります。
(手術当日の食事については、担当の医師の指示に従う必要があります。)
手術後に控えるべきこと
・飲酒・激しい運動・入浴
血行が良くなり、治療部位から出血することがあります。
当日はできるだけ安静にし、シャワーだけで済ませた方がよいでしょう。
・治療した部位で咬む
インプラントが骨と結合するまでは、できるだけインプラントに外力がかからないようにします。
即時荷重(手術当日にインプラントに人工歯をつけて咬ませる)という特別な場合を除き、治療部位では咬まないようにします。
骨との結合が途中の状態で強い力がかかると、インプラントと骨が結合しない事があります。
・治療した部位に触れる
舌や指で触れると、治癒が遅れたり感染することがあります。
傷が落ち着くまでは治療部位の歯磨きは避け、歯科医師の指示に従って洗口剤によるケアを行います。
・手術当日のうがい
過度にうがいをすると出血が止まらず、治癒が遅れることがあります。
・喫煙
喫煙により血行が悪くなり、骨とインプラントの結合および粘膜の治癒に悪影響を及ぼします。手術前後は喫煙を控えることが推奨されます。